【書評】室町の覇者 足利義満

面白そうな題材なのに中々盛り上がらい足利将軍ネタ。
本書は特に日本の権勢の頂点に立ったと思われる足利義満について解説している。
足利義満が何を思って行動していたのかという点において、面白い解釈もあった。

昔から天皇の地位を狙っていたとか言われているが、それについても説明されている。

第一章は足利幕府成立期の問題点を挙げている。
初代将軍尊氏を盛り立てながらも、実質政治を運営していたのは弟の直義である。
直義は北条家と同じ相模守の地位にいたことで、執権と同様とみられていた。
つまり、成立時に将軍ではなく直義側が実質的な幕府であったというところで、
将軍への反乱がちょくちょくおこる室町幕府の問題を抱えていたということだ。

第二章以降は義満の行動についてだが、主な内容は以下となる。
1.大名の力をどう削ぐか
2.南北朝の動乱をどう鎮めるか
3.実質的な頂点となった自分の新たな地位をどう示すか

大名の反乱を鎮めるために必要なのは、南北朝に分かれた朝廷を一つにするしかないという結論に義満は達する。
幕府は北朝から任命されているが、反乱を起こす方は南朝の存在を利用するからだ。
ただ、幕府の長というだけでは南朝側が交渉に応じないので、義満はまず北朝のトップに立とうとする。
将軍でありながら、朝廷内の地位を上げていくということだ。
武士のトップというだけでなく朝廷のトップである「室町殿」という特殊な地位を確立することによって、ついに当時の第一人者となる。

そして南北朝の統一を図ると、いままでにない権勢の地位を表現するための手段として
北山第という官邸を造営し、日本の代表として中国の使者を招いたりするようになった。

ただ、どうしても天皇になれないことは分かっていたようで、そこに哀愁がただよう。
どうやら義満は天皇になろうとしたというより、天皇と同格になろうとしたというのが著者の解釈のようだ。
それは跡継ぎの義嗣を親王待遇とし、いずれ皇室の一員にしようとしていたのだと。

第十章から最後の第十二章は義満後の二人の将軍について。
「室町殿」の影響範囲を元の武士のトップに戻しつつ、朝廷との距離を模索している様子が解説されている。
そして義教暗殺によって「室町殿」の力が地に落ちるのであった。

政権の確立はアウグストゥスみたいだし、山名氏の力を削ぐ討伐はフィリップ・オーギュストみたいだなって、勝手な感想ながら楽しく読めた。
総じて戦いと政治と文化と、これほど面白いネタの宝庫である日本の中世の覇王を大河ドラマにしてくれないかな。
視聴率なんて気にしないで。

室町の覇者 足利義満 (ちくま新書) - 有一郎, 桃崎
室町の覇者 足利義満 (ちくま新書) - 有一郎, 桃崎

にほんブログ村 サラリーマン日記ブログ 平凡サラリーマンへ


ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント